令和元年11月20日(水)〜12月17日(火)
聖武天皇や良弁僧正とともに東大寺の創建と盧舎那大仏の造立に尽力された人物として行基菩薩がいらっしゃいます。行基菩薩は天平15年(743)に大仏造顕の詔が出されると、弟子たちを率いて民衆へ勧進活動を行い、大仏さまの造立に貢献しました。行基菩薩が行なった勧進活動は、後世に戦乱によって失われた大仏さまを復興する際にも意識されるものでした。今回は行基菩薩に関わる寺宝を展示いたします。
特集展示 展示一覧
・重要文化財 四聖御影(永和本) 絹本著色 南北朝時代・永和3年(1377)
東大寺創建期に重要な役割を果たした4人の肖像画。向かって左奥から右回りに聖武天皇、菩提僧正、行基菩薩、良弁僧正を配置する。この絵画は供養法会の本尊として礼拝された。
・東大寺寺中寺外惣絵図 紙本墨画淡彩 江戸時代(17世紀)
江戸時代に制作された東大寺の境内図。画面上方を東として境内の様子が描かれる。当時現存していなかった建物についても、その跡が描かれていて貴重な絵図である。
・天地院縁起絵(複製) 絹本 コロタイプ印刷 著色 平成8年(1996)(原本 鎌倉時代)
現在はアメリカのシカゴ美術館が所蔵する天地院の伽藍を描いた絵図の複製。天地院は現存しないが、和銅元年(701)に行基菩薩が創建した寺院と伝えられる。
・行基菩薩千年忌記録 紙本墨書 江戸時代・延享4年(1747)
行基菩薩の千年忌にあたる延享4年(1747)に東大寺大仏殿で行われた法要の記録。法要の期日を書いた立て札を立てて告知したことが記録からわかる。
・行基菩薩御遠忌記 紙本墨書 江戸時代・弘化4年(1847)
弘化4年(1847)に行われた行基菩薩の千百年忌法要の記録。この記録から大仏殿のほかに法華堂でも供養会が行われたことがわかる。
・行基菩薩千百年忌并舎利供養式 紙本墨書 江戸時代(19世紀)
本書は、行基菩薩の千百年忌にあたる弘化4年3月2日より行われた舎利供養の記録。この記録によって、行基菩薩の舎利は大仏殿の壇上に安置され、供養が行われたことがわかる。
・東大寺戒壇院宝物録 紙本墨書 江戸時代・弘化4年(1847)
弘化4年(1847)の行基菩薩千百年忌に合わせて、真言院灌頂堂と戒壇院戒壇堂で公開された宝物の一覧。